神田猿楽町 町内会のお店紹介 第5回目ー 蕎麦(そば)屋 猿楽町「浅野屋」さん
「こちら神保町」をご覧の皆さん、こんにちは。
猿楽町町会内のお店紹介―その第5回目は、創業80年の歴史を誇る老舗の蕎麦屋「浅野屋」さんです。お蕎麦屋さんは江戸時代中期より江戸において発展した典型的なファースト・フード店(その当時は寿司などと同様に屋台形式)でありながら日本料理の一つのカテゴリーを見事に確立し、時には種物を肴にゆっくりとお酒を楽しむ、と言った多様な利用方法が可能な料理店でもあります。それでは紹介の始まりです。
1-1.お店の歴史および開業の経緯(ご主人からのコメント)
江戸から明治へと時代が変わると、身分別の住居制限が解かれて武家屋敷が並ぶ武家地だった神田地域にも町人が住み始めるようになります。
その神田の一画、猿楽町3丁目(現在の猿楽町2丁目7番、猿楽通りの「浅野屋」付近)にて1872(明治5)年12月、初代の和久井鉄蔵・仙の夫妻が蕎麦屋を開業しました。 屋号の「浅野」は、御先祖様が赤穂浪士で有名な赤穂浅野家出入りの大工であったことがご縁となります。 その後、創業者・鉄蔵の死去、1892(明治25)年4月の猿楽町地域の大火による店舗の被災の経験から、和久井仙は相互扶助と子弟育成を目的として浅野屋の暖簾会(浅和会)を設立します。 その暖簾会のメンバーである小林喜一氏が暖簾分けを受け、元「浅野屋」本店があった現在地にて開業しました。 (「浅野屋」本店は1892(明治25)年に旧松下町17番地(現・内神田2-7-9)に移転して現在に至っています。)
1-2.店主のプロフィール紹介
現在の店主、小林伸行さんは3代目となります。
次の写真は店舗に飾られている、江戸神田蕎麦の会(神田地域の若旦那による蕎麦の研究会)です。
定型的な蕎麦屋の業態にこだわらず、メンバー各店舗内にて現代アートを展示するアート・イベントの開催や、フランスやイタリア料理等も研究しながら新メニューの開発を行うなどメンバー相互で協力しながら行っています。また、「江戸神田つゆ比べ」と称する蕎麦つゆの味比べの会を主催しており、毎年9月に神田地区の蕎麦屋(20店以上)が参加して、新そばに各店舗のつゆをお好みでつけて頂くというイベントも行っています。
ご主人のポリシーとして、「蕎麦は簡単に食べられるものでなければならない。だから、敷居を高くしないようにしています。」とのこと。昔ながらの温かい雰囲気のなかでお客様に気軽にご来店頂き、肩をはらずに蕎麦を食べられる、そんな雰囲気が自慢だそうです。
また、砂場、更科、藪そば、と言った老舗のご主人で構成される”木鉢会”のメンバーとして、蕎麦作りの技術交流と向上・伝統の伝承に日々励まれています。
2.ご家族および店内紹介
店頭でのご家族スナップ写真
所在地の説明:白山通りの三崎町交差点の日大経済学部の間を入り、つきあたり右側です。(お店の看板と2台の出前用バイクが目印)
店内の様子です。玄関を入ると、鹿おどしのミニチュアや地元情報誌、神田蕎麦絵図(蕎麦店マップ)の他にも・・・。
アンティーク風ランプや小さな喜怒哀楽(?)の彫像(現代アート・デザイナー作)が温かくお出迎えです。
入口から奥を見た構図。入口側にテーブル席、奥に座敷の間取り。
店内に飾られている大正14年の営業許可証。(その当時、飲食店の営業許可権は警察署の取り扱い!!)
取材当日は、神田猿楽町町会の鎌倉町会長ご夫妻が来店されており、快くにこやかに撮影に応じて頂きました。
清潔かつ整頓された調理場内部も拝見。
店内ではゆったりと時間が過ごせるためか、お一人でお越しになる女性が多いのもこちらの特徴とか。東京ドームや武道館でコンサートが開催される際には、近くのホテルに宿泊される女性グループで賑わいます。
3.お店のこだわりとメニュー紹介
蕎麦は、北海道産7、長野産3に荒挽き粉を加えて打っております。 中休みがないのでいつでもおいしい蕎麦が食べられます。
夜には、お酒と共に定番メニューの他、家庭的なおつまみ(煮物、和え物、他)もお楽しみいただけます。
天ざるそば 1,000円
ミニかつ丼&もりそばセット 1,050円
天丼 950円
鍋焼きうどん 1,000円
夏季限定のおすすめメニュー
冷やし夏野菜そば 980円
今年の夏一番の人気商品 冷たいお蕎麦に煮びたしのなす、かぼちゃ、生姜、大葉、大根おろしが載っています。
4.追加情報
*ご長男の由典(ヨシノリ)さんは現在、番町にある超高級なお蕎麦屋さんにて修業中です。一人前になられた暁には、きっと新たな企画でお店を盛り立てていかれることと思います。乞うご期待。
(お店の詳細)
店名:猿楽町 「浅野屋」
住所:千代田区猿楽町2-7-6
電話:03-3291-4327
営業日・時間: 月~金曜日:11:00~20:00
土曜日 :11:00~14:00
出前の注文も可能(2人前より)
客席数:40席(座敷12席)
ブログのご紹介: http://asanoya276.blog22.fc2.com/
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5.兄弟店の紹介―浅草橋「更里」(さらり)
店主の弟様(次男)となる小林章浩さんが経営される台東区浅草橋の隠れた名店「更里」を合わせてご紹介します。
ご主人の章浩さんは、学生時代には明大中野高校(若・貴兄弟の先輩)から中央大学の相撲部で活躍した元アスリート。
神田消防団にも長く在籍され、現在でも神田明神の御防講のメンバーとして活躍されています。大森海岸にある名店「布恒更科」で長年修業をされたのち、現在の場所で独立開業されました。
横綱の手形も店内に掲示。
神田明神の神輿関係者の皆様より贈呈された招木(マネキ)。
メニューの一部紹介
もりそば 750円
かき揚げ天もり 1600円
花巻そば 900円
一品料理(夕方5時より):蕎麦がき(1580円)、揚げ蕎麦あんかけ(840円)、鳥焼(1050円)、チーズの味噌づけ(630円)等
ご参考:「更里」さんでは、”うどん及びご飯物”のお取り扱いはありません。
下の写真は、”夏野菜天せいろ”と”鱧天せいろ”。
(お店の詳細)
店名:更里(さらり)
住所:台東区浅草橋1-11-3 (浅草橋駅より110m)
電話:03-3863-6288
営業日・時間: 月~金曜日: 11:30~14:30
17:00~21:00
土曜・祝日: 11:30~14:30
17:00~20:30
客席数:テーブル 11席
掘りごたつ式の座敷 10席
それでは、また次回を御期待ください。
(神田猿楽町HP担当―青野)